桐島あお

書籍|文庫判(A6) 96ページ 2023/11/11(土)発行 くるしげな連作が集まりました。全194首。表紙は岡藤真依さん、デザインはあきやまさん。 「鏡」 ゆるやかに盛りを過ぎた蝉の声いなくなるのは知っていたのに 利き腕と反対の手と知りながら自分の意思でとらわれている 爪先で立ってひらけばひとりでも立てる脚だとわすれてしまう うしろからされて済ませるおそ夏の午後をだれかに叱ってほしい ふたりぶんついた指紋を拭き取って鏡のなかにいつものわたし